近年のウェルネスブームによって国内でも、CBDなどのカンナビノイドが健康成分として注目されるようになりました。
カンナビノイドの摂取にはさまざまな方法がありますが、いま関心が高まっているのが口から食品とともに採り入れる「大麻エディブル」です。
この記事では、大麻エディブルの概要やメリット・デメリットについて、詳しく解説します。
大麻エディブルとは
大麻エディブルとは、大麻の有効成分「カンナビノイド」が入った食品や飲料のことです。
大麻には、数百種類ものカンナビノイドが含まれていると言われています。
代表的なものとしては、精神活性作用があり国内では規制されている成分「THC(テトラヒドロカンナビノール)」や、リラックス効果があると近年話題を集めている「CBD(カンナビジオール)」などが挙げられます。
特にCBDは、健康成分として国内外で高く評価されているカンナビノイドです。
その効果を得るためにカンナビノイドを混ぜ合わせて作られる食品を「大麻エディブル」と呼びます。
さまざまな食品や飲料に添加される
混ぜる対象となる食品はグミやクッキー、チョコレートなどが主流で製品化もされていますが、中には店舗を構えてコーヒーなどの飲み物に添加して提供するところもあります。
作り方も非常に簡単で、調理中に原料となるカンナビノイドを混ぜるだけで完成です。
そして、大麻エディブルは「食べる」だけ、すなわち経口摂取によってカンナビノイドを身体に採り入れられます。
※日本国内においては、THCは違法成分であり、含有する製品を所持していると厳しく罰せられます。
大麻エディブルの歴史
最初に大麻エディブルを作ったのは古代インド人です。
ここ最近、注目を集めるようになった大麻エディブルですが、実は長い歴史があります。
インドには「バングー」と呼ばれる古くから伝わる大麻製品があります。何世紀にも渡りバングーは食事や飲み物に混ぜ、ヒンドゥー教のお祭りや瞑想に使われてきました。
現在でも、インドやネパールの人々と大麻エディブルは、切っても切れない不可分の要素となっており、現地では日常的にバングーを作る現場を見ることができます。
1950年代には西洋でも広がる
1950年代に入ると、フランスの芸術家が大麻エディブルのレシピ本を出版したことがきっかけとなり、西洋でも注目されるようになりました。
特にアメリカでは、ウッドストックなどを象徴とする1960年代のカウンターカルチャーを経て、近年の大麻合法化の流れの中で大麻エディブルは一般層にも浸透し、著しく消費量を拡大していると言えます。
大麻エディブルのメリット・デメリット
大麻エディブルには他のカンナビノイド製品と比べて次のようなメリットがあります。
簡単にカンナビノイドを摂取できる
1つ目のメリットは、食べるだけで気軽にカンナビノイドを取り込める点です。
ベイプなどとは異なり、摂取時に特別な道具は必要ありません。
煙(水蒸気)も出ないため、服や部屋に臭いが移ることもなく、間食用として旅先でも気軽に持ち歩きできます。
持ち歩いても違和感はないため、仕事場や学校でも周囲の目を気にせずに摂取できるという利点もあります。
効果が長く持続する
2つ目のメリットは、大麻エディブルによる摂取では効果が長く持続する点です。
経口摂取したカンナビノイドは消化器官を通過してから血流に乗って身体に取り込まれ、そのまま体内に6〜12時間ほど留まるからです。
効果が長い分、頻繁な摂取は不要となります。
摂取量をコントロールできる
3つ目は、カンナビノイドの摂取量をコントロールできる点です。
カンナビノイドには適量という概念がなく、人によって適切な摂取量が異なります。
ベイプによる蒸気摂取では、吸い込み方によって摂取量が大幅に変化するため、コントロールしづらいのが欠点です。
グミなどのエディブルであれば、1粒で何mgのカンナビノイドを摂取できるのかが分かるようになっています。
そのため、自分の身体に合わせて摂取量をコントロールできるのです。
大麻エディブルのデメリット
メリットだけを見ると万能な摂取方法となる大麻エディブルですが、デメリットも存在します。
効果が得られるまでの時間が長い
1つ目のデメリットは、カンナビノイドの効果が出るまでに非常に長い時間がかかる点です。
ベイプによる蒸気摂取では吸った後数分で効果が現れ、数十分後にはピークを迎えます。
一方のエディブルでは、食べてから数十分ほど経過してから徐々に効果が現れ、ピークを迎えるのは早くても1時間以上先となるのです。
そのため、カンナビノイドの効果をすぐに得たいという方には不向きでしょう。
食べすぎによる過剰摂取が起きやすい
2つ目のデメリットは、摂取が容易なため食べ過ぎによる過剰摂取が起きやすい点です。
大麻エディブルは美味しい製品が多く、思わずたくさん食べてしまいがちです。
また、食べてもすぐに効果がないため、量が足りなかったと誤解して追加で摂取してしまう人も多くいます。
しかし、食べ過ぎると急に効果が現れ、思わぬ副作用が発現してしまう可能性があるのです。
実際、合法化をきっかけに大麻エディブルの消費量が飛躍的に伸びたアメリカでは、それに比例して初心者が大量摂取したことによるバッドトリップを引き起こした事例が多くあり、その危険性が広く周知されるようになりました。
したがって、自分の適量が分かるまでは慎重に摂取すべきでしょう。
子どもが知らずに摂取してしまう恐れ
3つ目は、保管してある大麻エディブルを子どもが知らずに摂取してしまう恐れがある点です。
大麻エディブルの製品と普通に売られているお菓子は、一見して見分けがつきません。
子どもにとっては、どちらも同じお菓子に見えるでしょう。
しかし、カンナビノイドについてはまだ分かっていないことも多く、子どもが摂取すると発育や精神面において何らかの影響があるのではと懸念されています。
そのため、大麻が合法化されている国や地域でも、未成年者による摂取は禁じられているケースが多いのです。
子どもによる誤食のリスクを避けるために、大麻エディブルを所有する際には厳重な管理が必要となるでしょう。
初心者はベイプでの蒸気摂取がおすすめ
今回は大麻エディブルの概要やメリット・デメリットについて解説しました。
大麻エディブルとは大麻の成分が入った食品や飲料であり、経口摂取でカンナビノイドを摂取できます。摂取方法が簡単で効果も長く持続する点ではメリットと言えます。
しかし、カンナビノイド特有の味や香りをあまり感じることなく「普通」の食品や飲料として気軽に摂取できる点から、初心者が過剰摂取してしまい、バッドトリップを引き起こすという事例もあります。
メリットである摂取のしやすさ、長時間の効果持続が逆に欠点となる場合があるということです。摂取する量を間違えないためにも、一つの製品に含まれているカンナビノイドの量を把握し、体調を見ながら徐々に摂取していくことが大切です。
摂取量の感覚を掴むためにも初心者の方はベイプによる蒸気摂取から始め、慣れたところでエディブル製品を試してみることでより安全に摂取することができるでしょう。
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